ベネチアンガラスの魅力


閉ざされた島で発展したベネチアンガラス

ベネチアは北イタリアのアドリア海のベネチア湾にできた潟(ラグーナ)に築かれた水上都市です。赤や青など、ビビットな色合いがベネチアンガラスの特徴です。ベネチアの海や太陽の色、そして陽気なイタリア人の気質をそのまま反映されたようなキレイな色合いをしています。

その起源は定かではありませんが、7~8世紀ごろのガラス工房跡がトルチェッロ島から発見されています。ベネチアが東西貿易で栄えた13世紀には、ガラス製品にはとても重宝されるものになりました。しかし、元々原材料を産出できない土地だったので、ガラス製造の技術を他国に模倣されてしまうのを恐れ、囲い込むことにしました。

ベネチア本島のガラス工場での火災をきっかけに、工場、職人とその家族を強制的にムラーノ島に移住させました。本島から1.5Km離れた島に閉じ込められた職人たちは切磋琢磨し、エナメル彩色、ダイヤモンドポイント彫り、レースグラスなどの新しい技法を生み出しました。これらの技術は独特の文化として守られ、そこで作られた繊細で華麗なガラス製品は全ヨーロッパ、全世界に広がって行きました。

後にベネチアで培われた技術も世界に広がり、ベネチア風技法のガラス製品が多く作られるようになりましたが、ムラーノ島では今でも一つひとつ手作りでガラス製品がつくられています。

ムラーノ島のガラス工房

色、大きさ、形……ミルフィオリは職人の手作り

ベネチアンガラスの特徴の1つがミルフィオリです。

「ミルフィオリ」はイタリア語で「千の花」という意味です。その名の通り、花柄のガラスの粒ですが、これは金太郎飴のように同じ絵柄の長いガラスがカットされたものです。色も形もいろいろあり、見ているだけでもワクワクします。

細かい柄のミルフィオリ、どうやって作るんですか?と聞かれることがありますが、実は、小さいままつくるわけではありません。いくつもの金属型を使って花の形が中に入った太めの円柱状のガラスを作り、その両端を職人さんが持って伸ばしていきます。広い工場の中で、50m以上に引き伸ばされます。長くなるので太さも一定ではありませんが、そのおかげで大小さまざまなミルフィオリが出来上がります。

ムラーノ島で購入したミルフィオリ